周防 松
――うちの学校では、毎回、テストの順位を紙に書いて、廊下の掲示板に貼リ出して発表
している。
昼休み。
テスト順位発表の紙の前には、セーラー服と学ランで構成された団体が出来あがっていた。
順位が上がって喜んでる人、逆に下がって肩をがっくり落としてる人、最初からあきらめ
てる人。
反応は、いろいろ。
私は、人垣の後ろから、一生懸命背伸びして、掲示板に貼り出された紙を見ようとしていた。
しょうがないじゃない、私、クラス……ううん、学年で一番のチビなんだもん。
うーん……見えないなあ……。
こらこら、そこの女子数名、掲示板の前で話しこまないでちょーだい。
順位確認したんなら、さっさとどきなさいって。はっきり言って邪魔っ!
イライライライラ。
思わず、使えもしない念力を送ってみる。
どけ〜! どけ〜! そこにいたら見えないでしょうが〜!
「やっだあ、あんなの全然カッコ良くないじゃん!」
「趣味わる〜っ」
「人の好みにいちゃもんつけないでよね!」
「でも、私、なんとなくわかるかも……」
「あっ、仲間仲間っ」
私のインチキ念力が通じたのか、ただ単にテスト順位に関する話題が尽きたのか、女子数
名は、きゃいきゃい会話しながら去ってっ行った。
……女の子って、集団になると、途端に賑やかになるのよね……いや私も女だけどさ。
騒がしく去っていく背中を見つつ、そんなことを考えた。
ま、とにかく、これで順位が見れるわね。
私は気を取りなおすと、障害のなくなった掲示板の前に移動する。
さてと、私は何位かな?
自分の名前、『フローネ・リドリス』を探して、ずらりと並んだ名前を目で追っていく。
えーっと……。
あー……。
うーん……。
……………………。
……ま、まあ、テスト前、あんまり勉強しなかったもん、こんなもんよね。
順位も確認できたことだし、さっさと教室もーどろっ。
くるり、ときびすを返しかけたその時、ふと、頭の中にちょっとした疑問が沸いた。
1位って、誰なんだろ?
そんなこと知ってどうするんだ、なんて言わないで。
ただちょっと気になっただけなんだから。
んでもって、ちょっとでも気になったことって、そのままにしておけないのよ、私。
私は、いそいそと掲示板の前に戻って、もう一度、順位の書かれた紙に視線を走らせる。
えーと、1位の生徒は……と。
ん……?
『クライブ・ハワード』?
瞬時に、私の脳裏に、1人の人物が浮かぶ。
あらら、それって……。
もう一度確認してみるけど、そこにはやっぱり『クライブ・ハワード』と書いてあった。
名前の隣には、私と同じクラスが書かれてる。
ふんふん、クラスも一緒ということは、あの人に間違いない。
私の隣の席の男子生徒。
彼の名前も確か、『クライブ・ハワード』だった。
まあ割とカッコイイんだけど、なんか影を背負った感じで、いまいち取っ付きにくい印象。
こないだの席替えで隣同士になってからだいぶ経つけど、友達と話してるところとか、一
度も見たことない。
お弁当の時どうしてるのかな、って思ったけど、昼休みになると、いつの間にかいなくな
ってる。
ふーん……クライブ君、そんなに頭良いんだ。
さてと、今度こそ教室に戻ろう。そろそろお昼休みも終わる頃だし。
私は、自分のクラスに向かって歩き出した。